LondonsAlice’s blog

好きな物事について。

『ジェーン・エア』 2023年4月1日配信

4月1日、配信で観ました。萌音ジェーン版です。
井上芳雄さんとのコンビ観るのはダディ・ロング・レッグスに続いて二度目。
タイトルは知っていたけれど本を読んだことはなく、さてどうだろう、と軽く調べたところ、後味はなかなか良さそうだぞ?ということで鑑賞。
そして観てみたら、ほぼ知らないということもあって先の展開が分からないのがもどかしくも興味深く、第一幕が終わる頃にはよし本を読もう!という気持ちが湧いてきたりもして。
良い体験をさせて頂きました。

 

ということで感想文。

 

ジェーンについて。

萌音さん、ジルーシャはお茶目で明るくて不機嫌や怒りにも可愛さが滲む感じだったけど、ジェーンは凜々しく、時に激情を自分自身に叩きつけるような迫力が。

笑顔のシーンは少なかったし服もほとんど黒いけど、彼女は光であった。

そういやジルーシャは『ジェーン・エア』読んでたんだよな……。

 

ロチェスターについて。

彼がどんな人物かは全く分かっていなかったけど、なんかやっぱり登場したとき“おおー出て来たー!”と気持ちが浮き立つな……井上芳雄効果……。

斜に構えて皮肉気で、でも心の奥底では純愛を求め……んんんこういうキャラに心寄せる女性はいつの時代も一定数いるのだろう……乱れ長髪がお似合い。

 

いやほんと二人とも歌がうまい。画面を通して力が伝わる。
二人の重唱シーンの撮り方の角度が良くて映画のようだった。

 

ここからはアーカイブ配信を傍らにして見返しながらの感想文。

 

 

●一幕感想。

ジェーン幼少期。

幼少ジェーン役の子役さんの真に迫りっぷりよ。

正直観ているのがちょっと辛いくらいのシーンでしたけど、あの子の気迫を見逃してはいけないという気持ちで観ていた……。

そしてヘレン。最初はちょっとか弱げで頼りなげ、という雰囲気で、この序盤で亡くなってしまうのだけど、このヘレンが後々になってとても存在感を放ってくる……天使のような人であった。

 

アデール。

また子役さんに魅せられる。フランス語!

彼女の話す“フランス訛りの英語”の雰囲気がまた凄い……雰囲気を感じる……演技派……。

このアデールちゃん、醸し出す空気が善。無邪気。まったく良い子。

お芝居の扮装をして駆け回るシーンの天真爛漫ぶりときたら。あそこでロチェスターと睨み合うシーンだけは客席も和んでいたな……。

 

エドワード・フェアファックス・ロチェスターとの初対面。

馬!ああやって表すのね!

主役オーラ満載で転げ出てくるロチェスター様。

素性を明かさず自分をこき下ろすのがもう。そうかこういう人なのか。

「きのこの家にお帰り、妖精くん」

凄く印象に残る台詞。

 

お屋敷で正式対面。

アーカイブで見返してみたらこのあたりから既にロチェスターがジェーンに心惹かれまくっているな……女性を妖精に例えだしたらそれは恋ですよ。

そしてジェーンも彼に興味が湧きだしていく。

 

寝室の火事。

まさか一幕目で命の危機とは思わなかったよ。

このシーン以降小道具の蝋燭(本物)がちょっと怖くなってしまった。

しかしベッドの天蓋カーテンが燃えてるのに起きないロチェスターに水をぶちまけた時の「洪水か?」「火事です!」は面白かった。

 

貴族たち。

あからさまに豪華なドレスの貴婦人たちが現れる。

そして絵に描いたようないけすかない貴族っぷりを発揮してくれる。

アデールの妖精衣装だけが癒し。

 

メイスン登場。

原作を知らなかったのでこの人が何なのか分からなくてジェーンと同じ気持ちになっていた。

こういう感覚は新鮮だった。

 

一幕最後のジェーンとロチェスターの歌い上げの力強さがすごかった。

そこに被さる謎の女性の声。彼女が何者かは自然に調べたあらすじでざっくり知ってたけど、それがどのように明かされるのかはあんまり詳しく分かってなかったので気になったな……。


●二幕感想。

 

いきなりメイスンから始まる二幕。

そして血まみれ。

こんな出来事を共有すればそりゃあ否応なしに絆は深まりましょう……。

 

「いつまたこうして俺と夜更かしする?」

「お役に立てる時はいつでも」

「だったら結婚前夜に役立って貰おう」

この会話大分ロチェスターにいらっときたんですが、おまえ……。

この後のジェーンの歌の痛みがもう辛い。ロチェスターほんとおまえよ。

 

ジェーンとブランチ、朝の庭にて。

同じメロディにのせて違うことを語り歌うミュージカルの醍醐味。

ブランチほんと分かりやすく嫌な奴なのでむしろ観てて楽しい。

 

ジプシーの占い。

ブランチの手相見の途中から、あ、ああ~……と分かってくる。(そもそも良く聴けば声が声である)

でもあのマント剥いで正体見せるところ好きなんだな……皮肉とお茶目と悪ふざけが混ざり合って深みのある味わいに……。

 

ほんとロチェスターはまともな恋に縁がなかったからアプローチが下手過ぎて困る。ジャービスより酷い。

それでもジェーンは彼の心の内の光が見えてしまうから彼から離れがたいのだ……。

 

ミセス・フェアファックス、ジェーンとロチェスターの結婚に驚天動地。

宝石絡みのやりとりが楽しい。つけてもつけなくても文句言う。

フェアファックスさん好きだわ。

 

結婚式(未遂)。

いやその真実を打ち明けてからジェーンとの結婚話を進めようぜロチェスター様よ。

土壇場であんなことになるの差配が駄目過ぎる。そもそも重婚って問題では……?

でもこのくだりはミステリーの真相のようでちょっと面白さも感じてしまう。

正気をなくした夫人が抱いてた人形をそっと返すジェーンが優しくて悲しい。

花嫁衣装のジェーン、素敵でした。

 

副牧師に拾われて昔の家に戻るジェーン。

ここで幼少ジェーンが出て来る演出がもう。

病床のリードおばさん。ちょっと認知症っぽさが垣間見えたけど、だんだんしっかり話していたな。ジェーンに会って何かが蘇ったのか。

時が和らげてくれることは確かにあるよな。

 

ていうか副牧師さんよぉ。
悪い人でないのは分かるんだけどなぁ。

プロポーズはいいけどその言い方はどうなのよ。

それともあの人はあの人でジェーンを愛していたけれど信条とか信仰とかでああいう言い方しか出来なかったのかなぁ。

 

再びソーンフィールドホール。

屋敷が全焼のくだりでレベッカを思い出した。

歴史ある屋敷が燃えるのってある種の様式美みたいなものなんだろうか。

 

やっと結ばれた二人。
ロチェスターは三度目の正直みたいな結婚だな……。

結婚後のジェーンの語りが自信に満ちてて清々しい。

ジェーンの腕に我が子を抱かせるのがヘレンなのが素敵だった……天使のヘレンが授けてくれた子のようで。


物語以外についてだと、舞台の作り方というか演出も面白かった。

セットがあんまり大きく変わらないで、家具や小道具を動かして部屋を表したりするところはちょっとダディ・ロング・レッグスに似てる感じ。

色んな人物がジェーンの人生の語り(小説で言う地の文)をするのも面白かった。

ステージ上に客席があるのも新鮮。色んな角度から観られるのね。

梅田芸術劇場の雰囲気素敵だったなぁ!


ということで『ジェーン・エア』配信感想でした。

これから送られてくるプログラムも楽しみ。

本も読むぞ。